
2015年8月31日
Tuolumne Meadows > Map11 Donohue Passを越えた先、Marie Lakesへの分岐10030ft地点手前の小さなUnknown Lake
6:15 起床 シェルター内7.0℃
JMTを歩くHikerの朝は意外とノンビリとしている。
シェルターから出て周りを見渡すも他のHiker達はまだ眠っているようだ。
ここのCampgroundsにはSite毎にベア・ボックスが設置されているのだが僕のSiteのベア・ボックスはロックが壊れていた。その為、日本人女性ソロ・ハイカーのウッチーのSiteのベア・ボックスを一緒に使わせて貰った。その中から食料を取り出して、Camp Site備え付けのウッドテーブルで朝食を取ろうと支度をしていたら黄緑色のMSRのテントのジッパーが「ジーッ」と開きウッチーが起きて来た。彼女が湯を沸かそうとガスバーナーのレバーを捻りライターを「カチッ、カチッ」とやるのだがその動作がぎこちなくとても危なっかしい。そして、彼女自身も凄く怖がっている。そう言えば昨日、彼女がMSRを設営中にペグの打ち方がイマイチ分からないようだったので教えてあげた。僕は「この先、ウッチー大丈夫か...?」と思った。
朝食後、僕はいつものようにパッキングを済ます。ウッチーもGossamer GearのMariposaに道具を詰め込み終わったようだ。
ピーターに別れの挨拶をしようとしたが、彼はまだ眠っているようなので挨拶はしなかった。僕とウッチーはCamp Siteを後にして歩き出した。
8:15 出発
ウッチーが水とライターとサングラスを買うと言うのでStoreへ寄った。僕はRed Bullを買って一気に飲み干し「ゲフッ」と気合注入。
ウッチーがライターを買うのを躊躇している。そんな彼女に「ライターは2個持ってた方が良いよ」と言うと、彼女は「YOSEMITE」とプリントのされた「いかにも」お土産なライターを$4程で渋々購入していた。二人して「高いね〜...」と言いながら僕たちはバックパックを再び背負ってTrailへと入って行った。
ウッチーのJMTがSTARTだ。ワクワクしているのが分かった。むしろ、JMTを歩くのにワクワクしない人なんていないだろう。

Tuolumne Meadows Wilderness Center前に列ぶHiker達
パーミットを取得する人がどのくらい並んでいるのか気になった僕はTuolumne Meadows Wilderness Centerを覗きに行った。
この時、時刻は8:50。パーミットの受付は11:00からなのに、そこには10人くらいが並んでいた。

草原の中に伸びるTrailはゆったりと流れる川と平行して続いている。とても気持ちが良く、いつまでも歩いていたいと思うのと同時にいくらでも歩ける気さえする。
川はとても透き通っており、流れに逆らってじっとしているトラウトの姿がはっきりと見える。トラウトの少し先に毛鉤を落とし流れに乗せてくれば一発で喰ってきそうな雰囲気だ。竿を出したい気分は山々だったが、今は兎に角歩くのが楽しい。僕とウッチーはグングンと歩いた。
向こうから一目でそれと分かる二人組が歩いて来た。レンジャーだ。パーミットを見せるように言われたので提示した。後にも先にも、パーミットの提示を求められたのはこの時が最初で最後だ。
川に下りられる所を見つけると、お昼頃だったので休憩を取ることにした。川で脚を洗い頭を洗ったり、昼食を食べたり、昼寝をしたり。1時間程くつろいだ。とても気持ちが良かった。この時初めてのんびりと昼休憩をした。今まで一人で歩いていた時は休憩もしないでひたすら歩いていたのだ。時間が許されるのならば、のんびりと休憩を取りながら歩きたい。
このいつまでも歩いていたいと思うTrailはいつまでも続くはずは無い。峠越えに備えて登りになる。いくつものスイッチバックを繰り返す。次第にウッチーのペースが遅くなる。彼女は歩きながら「今日、Donohue Passを越えるかどうか」悩んでいたようだ。初日から無理をするのは良くない。彼女は峠手前のUpper LyellでCampをすることを決断した。僕とウッチーは二日後にMammoth Lakesの街で再会出来ることを願ってLyell Fork Bridgeの先で別れた。

すこぶる調子が良い。僕はガシガシ上り坂を登った。
前日、早い時間にCamp Siteに到着してたっぷりと身体を休める事が出来たからなのか。ハンバーガーやポテトを食べてガッツリとカロリーを摂取出来たからなのか。身体がJMTに慣れたからなのか。きっとそれら全てだろう。そして、決め手は今朝飲んだRed Bullのお陰で翼が生えたからに違いない。僕はその翼でシエラネバダの青い空に羽ばたくような勢いでDonohue Passを目指した。
途中、池で泳いでるグループがいた。気持ち良さそうだ。そして、この標高でも水が豊富にあるのは凄い。

Donohue Passでの一枚
一気にDonohue Passを越えた。
峠を越えると目の前には新たな風景が広がる。その見下ろす景色が兎に角素晴らしい。この景色の中を、更に先の景色の中を歩きたいという気持ちが現れ、それが僕の脚を動かすエネルギーとなる。
「えくすきゅーずみー。くどぅゆーていくあぴくちゃーふぉーみーぷりーず?」とぎこちなくHikerに話し掛け写真を取って貰った。写真を撮って貰えたと言う事は、僕の英語が通じたと言う事にしておこう。
峠を下ると暫く平らなTrailを歩き、今夜のCamp地を決めた。
17:20 小さな池の横に到着
そのうち干上がってしまいそうな池で水中には虫が沢山いる。普通ならばこのような水質の水は飲まないだろう。他に良さ気な水場が見当たらなかったので仕方なくココでCampをすることに決めた。

暗くなり始める頃にはシュラフに潜り込んだ。シェルターから頭だけ「ヒョコッ」と出して暫く夜空を見上げていた。徐々に空が濃紺色に染まって行く。真っ暗なはずなのに山々の姿が黒く浮かび上がって見える。そして、山々と空との境目は薄っすらと明るい。今度は空高い所にポツリポツリと星が輝き出す。その輝きは次第に増えていく。僕は空と星を眺めていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
どのくらい時間が経ってしまったのか分からないが「パッ」と目が覚める。空にはギッシリと星がギラギラと輝いている。本当にギラギラとだ。こんなのは見たこともない。まさに「星が降ってきそう」とはこの事だ。それからまた暫く僕は空を見つめていた。流れ星を数えながら。
この星空をいつか、愛する人、家族、友人と一緒に見たいと思いつつ僕はシェルターの中に頭を引っ込めて再び独り眠りに就いた。
朝:ベリーデニッシュ、プチトマト、バナナ、Red Bull
昼:バー、アイスコーヒー
夜:スパゲッティ・ミートソース半分(ヒロさんに貰ったMountain House)、バー